はじめての自動車保険の選び方|免許を取ったら確認する順番を元教官が解説
- 納車の日に、販売店で保険の申込書を渡された
- 親の保険で運転していいのか、自分で入るべきかわからない
- 保険料の相場がわからないから、損していないか不安
そんな悩みにお答えします。

この記事を書いている僕は、教習所の教習指導員として12年勤めていました。遊びに来てくれた卒業生と話していると、損している自動車保険を組んでいる人が本当に多かったのが印象的でした。
この記事では、はじめて自動車保険に入る人が確認する順番を整理します。結論から言うと、①親の保険で足りるか→②親の等級を使えるか→③一括見積もりで比べる、の順です。
この順番で確認していけば、同じ補償のまま保険料のムダをなくせます。
いちばん多い失敗は、販売店で勧められた保険に、比べないまま入ってしまうことです。そのままでは、同じ補償に高い保険料を毎年払い続けることになります。
自動車保険は「自賠責」と「任意保険」の2つ

結論、車に乗るなら任意保険は必須です。自賠責保険だけでは、事故の相手の車の修理代が1円も出ません。
| 入るかどうか | 守るもの | |
|---|---|---|
| 自賠責保険 | 法律で義務 | 相手のケガ・死亡だけ |
| 任意保険 | 自分で選ぶ | 相手の車やモノ・自分のケガ・自分の車など |
自賠責保険から出るお金には上限があります。死亡は3,000万円、後遺障害は75万〜4,000万円、ケガは120万円までです。
実際の裁判では、5億円を超える賠償もある
この上限では、まったく足りません。実際の交通事故の裁判では、損害額が数億円と認められた例がいくつもあります。
| 認定された損害額 | 被害 | 被害者 |
|---|---|---|
| 5億2,853万円 | 死亡 | 41歳・男性(眼科開業医) |
| 4億5,381万円 | 後遺障害 | 30歳・男性(公務員) |
| 4億5,375万円 | 後遺障害 | 50歳・男性(コンサルタント) |
| 4億5,063万円 | 後遺障害 | 19歳・男性(大学生) |
| 4億3,961万円 | 後遺障害 | 58歳・女性(専門学校教諭) |
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2024年度版 第42表(人身事故)。損害額は弁護士費用などを含み、被害者の過失分や自賠責保険などから支払われる分を差し引く前の金額です。
被害者が若いほど、将来稼ぐはずだったお金が大きくなるため、賠償額も高くなります。上の表の4番目は、19歳の大学生です。
モノの事故も高額です。トラックの積み荷で2億6,135万円、パチンコ店に突っ込んだ事故で1億3,450万円という判決があります。モノの損害は、自賠責保険からは1円も出ません。
| 認定された損害額 | 壊したもの |
|---|---|
| 2億6,135万円 | 積み荷(呉服・洋服・毛皮) |
| 1億3,450万円 | 店舗(パチンコ店) |
| 1億2,036万円 | 電車・線路・家屋 |
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2024年度版 第43表(物件事故)
任意保険に入っていなければ、自賠責保険で足りない分はすべて自分で払うことになります。数億円の賠償は、一生かけても払いきれない金額です。
任意保険に入るときは、相手への賠償(対人・対物)を「無制限」にしてください。

「自賠責に入っているから大丈夫」は、いちばん危ない思い込みです。任意保険に入らずに運転するのは、絶対にやめてください。
はじめての人の保険料が高い2つの理由

はじめての人の保険料が高いのは、等級が低いことと年齢条件の2つが重なるからです。
理由1:等級が6等級から始まる
自動車保険には等級という1〜20の段階があります。事故のない年が続くと上がり、上がるほど保険料は安くなる仕組みです。
はじめて入る人は6等級からです。保険料の基準では、はじめての6等級は割引ではなく3%の割増です。
等級ごとの割引・割増は、次のとおりです。
| 等級 | 事故なし | 事故あり |
|---|---|---|
| 1等級 | 108%割増 | — |
| 2等級 | 63%割増 | — |
| 3等級 | 38%割増 | — |
| 4等級 | 7%割増 | — |
| 5等級 | 2%割引 | — |
| 6等級 | 13%割引 | — |
| 6等級(はじめての契約) | 3%割増 | — |
| 7等級 | 27%割引 | 14%割引 |
| 7等級(セカンドカー割引) | 38%割引 | — |
| 8等級 | 38%割引 | 15%割引 |
| 9等級 | 44%割引 | 18%割引 |
| 10等級 | 46%割引 | 19%割引 |
| 11等級 | 48%割引 | 20%割引 |
| 12等級 | 50%割引 | 22%割引 |
| 13等級 | 51%割引 | 24%割引 |
| 14等級 | 52%割引 | 25%割引 |
| 15等級 | 53%割引 | 28%割引 |
| 16等級 | 54%割引 | 32%割引 |
| 17等級 | 55%割引 | 44%割引 |
| 18等級 | 56%割引 | 46%割引 |
| 19等級 | 57%割引 | 50%割引 |
| 20等級 | 63%割引 | 51%割引 |
出典:損害保険料率算出機構の参考純率(2021年6月の改定後の値)。「事故あり」は、事故で等級が下がったあとの期間に使われる率です。実際の割引率は保険会社によって違います。
はじめての人は3%の割増、20等級の人は63%の割引です。事故を起こすと等級は原則3つ下がり、割引も小さくなります。
理由2:年齢条件で保険料が大きく変わる
年齢条件とは、「何歳以上の人が運転するか」を決める条件です。若い人も運転できる条件ほど、保険料は高くなります。
| 年齢条件 | 保険料の例(年額) |
|---|---|
| 年齢を問わず | 72,300円 |
| 21歳以上 | 38,220円 |
| 26歳以上 | 28,730円 |
| 35歳以上 | 28,660円 |
三井ダイレクト損保が公表している試算例(1970年生まれ・20等級・ゴールド免許・プリウスの場合)。18歳がはじめて入るときの金額ではありません。
年齢条件だけで、保険料が2.5倍ほど変わることがわかります。
⚠ 注意
保険料の基準は、2027年1月以降の契約から見直される予定です(平均14.4%の引き上げが届け出られています)。実際の金額は、各保険会社の見積もりで確認してください。

はじめての年は保険料がいちばん高い年です。だからこそ、入り方で差がつきます。
はじめての人がやりがちな失敗4つ

失敗の多くは、比べずに決めてしまうことが原因です。
はじめての人がやりがちなこと
・販売店で勧められた保険に、そのまま入る
・年齢条件や、運転する人の範囲を間違える
・親の保険を使えるのに、自分で高い保険に入る
・付けなくていい車両保険を付ける
販売店で入ってもかまいません。大事なのは、ほかの会社と比べてから決めることです。
年齢条件や運転する人の範囲を間違えると、事故のときに保険金が出ません。次の章から、正しい確認の順番を見ていきましょう。
確認①:親の車を借りるなら、親の保険で足りるか

自分の車を持たず、実家の車をときどき運転するだけなら、新しく入らなくていい場合があります。まず、親の保険の条件を確認してください。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 運転する人の範囲 | 「家族限定」なら、同居の家族と別居の未婚の子も入ります |
| 年齢条件 | 同居している子が運転するなら、その子の年齢に合っているか |
ポイントは、年齢条件がかかるのは同居の家族までということです。下宿している未婚の学生が帰省して運転する場合は、年齢条件の対象外になる会社が多いです。
反対に、実家に住んでいる18歳が運転するなら、年齢条件の変更が必要です。変えずに運転して事故を起こすと、保険金が出ません。

条件は保険会社ごとに細かく違います。運転する前に、親から保険会社へ一本電話してもらいましょう。
確認②:自分の車を持つなら、親の等級を使えるか

親と同居しているなら、6等級より有利な等級から始められる方法が2つあります。
セカンドカー割引で7等級から始める
家族がすでに11等級以上の保険に入っていれば、2台目の車は7等級からスタートです。
基準では、ふつうの6等級が3%の割増なのに対し、セカンドカーの7等級は38%の割引です。使えるのは、親本人・配偶者・同居の家族が主に乗る車です。
親の等級を引き継ぐ
等級は、配偶者や同居の家族に引き継げます。たとえば、親の20等級を子どもに渡し、親はセカンドカー割引の7等級で入り直す方法です。
若い子どもが高い等級を使えるので、家族全体で安くなることがあります。どちらが得かは家族ごとに違うので、両方の見積もりを比べて決めてください。
⚠ 注意
進学で下宿している子どもは、住民票を移していなくても「別居」と判断されます。等級の引継ぎやセカンドカー割引は使えません。

同居しているうちに車を持つなら、この2つは家族で一度話してみてください。
見積もりの前に決める:必要な補償・いらない補償

結論、相手への賠償と自分のケガは厚く、自分の車は貯金で守るのが基本です。任意保険は、いくつもの補償の組み合わせでできています。
| 補償 | 守るもの | 必要か |
|---|---|---|
| 対人賠償 | 相手のケガ・死亡 | 必須(無制限) |
| 対物賠償 | 相手の車・建物など | 必須(無制限) |
| 人身傷害 | 自分と同乗者のケガ | 付ける |
| 弁護士費用特約 | もらい事故の交渉を弁護士に頼む費用 | 付ける(家族の契約と重なるなら不要) |
| 個人賠償責任特約 | 自転車事故など、車以外で人にケガをさせたときの賠償 | 付ける(家族の契約と重なるならいらない) |
| 搭乗者傷害 | ケガをしたときの決まった額の上乗せ | 人身傷害があれば基本いらない |
| 車両保険 | 自分の車の修理代 | いらない(修理代は貯金で) |
補償の名前や、最初から付いている補償の組み合わせは保険会社ごとにバラバラです。見積もりの画面で確認してください。
対人・対物賠償は「無制限」一択!
相手への賠償は、上で見たとおり数億円になることがあります。保険料を下げたいなら、ほかの補償を削りましょう。
人身傷害は付ける
人身傷害は、自分や同乗者のケガの治療費などを、過失の割合に関係なく出す補償です。自分が悪い事故でも、相手のいない単独事故でも使えます。
弁護士費用特約は、自分が悪くない事故のために付ける
自分に過失がまったくない「もらい事故」では、自分の保険会社が相手と交渉してくれません。そのとき、弁護士に交渉を頼む費用を出してくれるのが弁護士費用特約です。
🐻 くま教官の実例
僕自身、相手の過失100%の追突事故にあったことがあります。車の修理代は50万円、相手の保険会社から最初に示された慰謝料は10万円でした。弁護士費用特約を使って弁護士に入ってもらったところ、慰謝料は130万円になりました。
慰謝料は、弁護士を立てるかどうかで大きく変わることがあります。弁護士が入ると、裁判のときと同じ基準で計算してもらえるからです。
家族の自動車保険などに同じ特約が付いていれば、使える場合があります。重なっていないか、見積もりの前に確認しましょう。
個人賠償責任特約も付ける
個人賠償責任特約は、車以外の場面で人にケガをさせたり、物を壊したりしたときの賠償を出す特約です。たとえば、自転車で歩行者にぶつかったときが対象です。
参考:自転車の事故でも賠償は高額になる
11歳の小学生が自転車で歩行者にぶつかった事故では、約9,521万円の賠償命令が出ました(2013年・神戸地裁)。
子どもが起こした事故でも、親が賠償を求められることがあります。
この特約は、同居の家族や別居の未婚の子まで対象になる会社が多いです。子どもがいる人なら、子どもの自転車事故やいたずらでの賠償にも備えられて安心です。

ただし、火災保険やクレジットカードなどに同じ補償が付いていることもあります。重なっていないか、見積もりの前に確認しましょう。
搭乗者傷害は、人身傷害があれば基本いらない
搭乗者傷害は、ケガの部位や入院日数などに応じて、決まった額を上乗せで出す補償です。治療費そのものは人身傷害でカバーできるので、保険料を抑えたいなら外してかまいません。
車両保険はいらない!
車両保険は、補償内容を厚くするほど保険料が大きく跳ね上がります。しかも保険を使うと等級が3つ下がり、翌年から保険料が上がるため、小さな修理では結局使いにくい保険です。
修理代は保険ではなく、自分の貯金で払いましょう。修理代を払えない車は、身の丈に合っていません。買う前に、乗る車を見直してください。
ローンやリースの車も同じです。事故で車が使えなくなっても、残りのお金は払い続けることになります。その額を払えないなら、借りる車のランクを下げましょう。

浮いた保険料は貯金へ。守るのは相手への賠償と自分の体、自分の車は貯金で守る。これがくま教官の考えです。
確認③:保険会社は一括見積もりで比べて選ぶ

結論、保険会社を選ぶなら一括見積もりで比べるのがおすすめです。同じ補償内容でも、保険料は会社によって違うからです。
1社ずつ見積もりを取ると、同じ内容を何度も入力することになります。一括見積もりなら1回の入力で、複数の会社の保険料がまとめてわかるので便利です。
インズウェブの自動車保険一括見積もり
| 運営 | SBIホールディングス株式会社(保険の販売はしていません) |
|---|---|
| 比べられる数 | 最大20社 |
| 料金 | 無料 |
| 結果の受け取り | メール・郵送など。その場で画面で比べられる会社もあります |
| 用意するもの | 車検証・運転免許証(乗りかえなら保険証券も) |
見積もりを取っても、入らなければお金はかかりません。販売店で保険を勧められたときも、この金額と比べてから決めると安心です。
\ 見積もりだけでもOK・入るかどうかはあとで決められる /
なお、保険会社によっては、メールや郵送のほかに電話で連絡が来ることもあります。あらかじめ知っておけば安心です。

販売店の見積もりを手元に置いたまま比べると、差がひと目でわかります。
よくある質問
保険はいつまでに入ればいいですか
車を運転する日より前です。自分の車を買うなら、納車の日から補償が始まるように手続きします。
一括見積もりをしたら、必ずどこかに入らないといけませんか
入らなくても大丈夫です。金額を比べるだけでも使えます。
バイクの保険とは別ですか
別の契約です。車の等級をバイクに引き継ぐこともできません。
バイクの保険は、次の記事でくわしく解説しています。
まとめ:保険は「親の保険→親の等級→一括見積もり」の順で決めよう
この記事のまとめ
- 自賠責保険は相手のケガだけで上限もある。任意保険は必須(対人・対物は無制限)
- はじめては6等級+若い年齢条件で保険料が高い
- 親の車を借りるだけなら、まず親の保険の条件を確認
- 同居ならセカンドカー割引・等級の引継ぎを検討
- 保険会社は一括見積もりで比べて選ぶ
- 人身傷害・弁護士費用特約・個人賠償責任特約は付ける。車両保険はいらない(修理代は貯金で)。搭乗者傷害も基本いらない
販売店で申込書を渡される前に、まずは一括見積もりで相場を見ておきましょう。
\ 見積もりだけでもOK /
車を買うか、借りるか、まだ決めていない人は、次の記事も読んでみてください。

